Skip to content

ポルシェボクスター、ポルシェ911カレラ【981ボクスター対しての911type991はどんなクルマなのか?】

Pocket

ボクスターと911は、一昔前までは兄弟的な関係で、ボクスターは911の格下のクルマのイメージが強く有りました。

しかし、今では、各々で違ったクルマで有ることが、この981及び991になってから、はっきり別れるようになりました。

それでは、981と991とで同じスポーツカーなのに、何が違うのでしょうか?

それは、981はリアルスポーツカー、911は実用性も強く視野に入れたスポーツカーで有ることです。

同じスポーツカーでもジャンルが違うのです。

例えば、911は、981に比べると重心位置が若干高くなっています。そのため、乗り降りが981に比べるとしやすくなっています。

乗り込んで操作系に触れてみると、ステアリング、シートなど硬すぎず柔らかすぎずといった弾力感があり、コンフォートを意識したクルマ作りになっています。

エンジンをかけると、セルモーターのクランキング音と共にエンジンに火が入り、乾いたスポーツサウンドを発して、走る前の高揚感を感じる事が出来ます。そこはコンフォート志向であっても、やはりスポーツカーの印象を強く残しています。

そして、ブレーキを踏み、PDKのレバーをDレンジに入れて走り出してすぐに気づくのが、サーボトロニックの影響です。

このオプションが付くことによって、ステアリングの操舵感が大きく変わり、通常の走行ではステアリングが非常に軽く、高速走行では手応えのある重さへ変化するシステムになっています。

ステアリングの操舵感は、ポルシェの生命線とも言えるので、今のクルマのように軽いと非常に取り回しがし易い分、スポーツカーに乗っている印象が薄くなってしまい、そのさじ加減が難しい所ですが、911はコンフォート志向を取り、操舵感が軽く、ステアリングの取り回しを良くしています。

走行は、はじめからSPORT PLUSを選択して、PASM装着車なので、同時にノーマルからスポーツへと減衰特性がハードに変わり、もっともスポーツ走行に適した状態で走らせて見ました。

そこから分かった事は、SPORT PLUSに設定してもまったく足は硬くなく、むしろコンフォートよりのセッティングになっている事が印象的でした。

その恩恵で、路面からの突き上げ感はほとんど感じる事無く、非常に穏やかで乗り心地のいい室内空間の中、SPORT PLUSなのでエンジンのスロットルレスポンスがよく、ペダルを一気に床まで踏み、キックバックしてからの反応の良さと、それと相まってツインターボならではのトルク感、そして何よりもRRならではの路面を掴みながら加速する強大なトラクション、この加速はNAのボクスターでは味わえない領域で有り、911の特徴を強く感じる事が出ました。

従って、911 type 991というクルマは、エンジン以外の操作系は、非常にコンフォート志向に作られている中で、エンジンやRRレイアウトから生み出す強大な動力性能は健在で、操作系と動力性能を上手くミックスさせて、大人の落ち着いたスポーツカーを作り上げているクルマで有ることが分かりました。

私は、まだまだレーシーで硬派なリアルスポーツカーに乗りたい考えているので、方向性としては、操作系は手応えがしっかりとしていて、絶対的な動力性だけを求めず、車体の運動性能とバランスさせた、操る領域が遺憾なく残されている981ボクスターやケイマンになって来ることを改めて感じました。

普段ちょっとした時に買い物に行ったり、長距離ドライブに出かけたり、ハイペースでまっすぐを走ってみたり、嫌なことが有ったらパワーを堪能してみたり、人間の日常に調和しているのが911であり、それ故にポルシェを支えるファンのメインカーで有り続け、今も作り続けられているクルマで有ることがよく理解出来ました。

スポーツだけでなく、日常の使い勝手をふんだんに考えられた結果、RRのレイアウトを選び、リアシートを付けた事によって生まれた911は、スポーツカーで有りながら、人間の日常に溶け込むクルマで有るが故に、奥の深いクルマであるので、もう少し大人になったら乗ってみたいと考えています。

IMG_1488

IMG_1505.jpg

 

 

大林 寿行 View All

H社及びM社ドイツエンジン部品メーカー2社を経て、国内自動車メーカーの実験エンジニアに従事。主にクルマのエンジン耐久信頼性実験とその研究に携わる。研究においては、H研究所出向中、エンジン内部の要素研究に着手。自動車技術会、SAEへ研究論文を発表し、「ピストンピン打音発生時の潤滑挙動可視化」やM社時代大学の研究室との共同研究「ディーゼル用スチールピストンの摩擦力と特性とスラップ振動の関係」などがある。また、「内燃機関のピストン構造」で特許を出願。しかし、順風満帆な日々は続かず、うつ病を患うことになり、これからの仕事の仕方について真剣に向き合う。情報発信を駆使して、エンジニアからジャーナリストへの転身を見据え、「エンスージアストへの道」ブログを立ち上げ、クルマ系記事を執筆。今年からは、クルマ系動画クリエイターとして独立を果たし、新車及びカー用品のレビューを本格的に実施。ブログ記事執筆によって、動画の新車レビューでお届け出来なかった内容を執筆し、クルマのエッセンスをより詳しく発信。また、カー用品では、デシダルルームミラーを始めとした、主に新車購入時に注目される用品を中心に、海外メーカーからタイアップの話を頂きつつ更新中。クルマを通じて、誰もが楽しいカーライフが得られるきっかけづくりを目指します。

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。