ホンダステップワゴンハイブリッド 【2.0Lエンジンのメリットについて】
なぜ、ステップワゴンハイブリッドは、2.0Lエンジンを積んでいるのかご存知でしょうか?
ほぼ同じ燃費性能を誇るシリーズハイブリッドのセレナe-powerは、1.2Lエンジンが搭載されているため、余計に2.0Lエンジンを積む理由が気になるのではないかと思います。
ましてや登録初年度の自動車税は、減税の対象になりますが、2年目からはクルマの排気量の大きさによって、税金が加算されていくので、排気量が大きいメリットがなければ、まったくを持って意味のない税金を支払う事になり、損をした気分になってしまいます。
改めて、ステップワゴンハイブリッドが、2.0Lエンジンを積むメリットとは何でしょうか?
それは、高い駆動出力を得る事が出来るからです。
なぜなら、エンジンの大きさによって、発電機の大きさが変わってくるからです。
シリーズハイブリッドのモータ出力は、発電機の出力と駆動用バッテリーの出力で決まります。
2.0Lエンジンを積むステップワゴンハイブリッドの発電機の出力は83kW、駆動用バッテリーの出力は、200Aの電流を流した場合、52kWになり、135kW(184ps)となります。
一方、セレナe-powerの発電機の出力は50kW、駆動用バッテリーの出力も50kWで、100kW(136ps)となります。
従って、発電機の大きさ分の出力の+30kW程度の差が、エンジンの大きさと発電機の大きさによって生まれます。
また、ある程度エンジンが大きくないと、それに見合ったサイズの発電機を使う事が出来ません。
発電機を回すためには、それなりのエンジン出力も必要ですし、逆に小さいエンジンの場合は、大きな発電機を回しきれない場合が有ります。
仮に回せたとしても、エンジン負荷が高い状態で回しても、返って燃費性能が悪化してしまう懸念が有る事から、エンジンの大きさに見合った発電機が必要になります。
さらに、発電機が大きく、出力が高くなる分、回生トルクも上がり、その時に駆動用バッテリーにチャージされる電力が大きくなるので、速くバッテリーが充電されるメリットがあります。
このように、エンジンが大きくなると、サイズが大きい高出力の発電機を回す事が出来るので、高い駆動出力が得られて、且つチャージする時間が短くなるので、EV走行の時間が長く取れるようになります。
そのため、出力が必要な時にエンジンを運転させる事が出来る事、エンジンの運転時間が短縮出来る事により、出力と燃費性能の両立が果たせる事にメリットがあると言えそうです。
一方で、セレナe-powerは、発電機が小さいため、ステップワゴンハイブリッド程の出力が得られず、回生による電力の回収時間も長くなります。
そのため、1.2Lの燃料消費量の少なさ活かして、エンジンを2000rpm一定で、基本的に発電機を回し続けながら、駆動用バッテリーをチャージして、発電機の出力の低さをカバーして走行します。
しかしながら、ステップワゴンハイブリッドに対して、エンジンが稼働している時間が長いため、1.2Lで排気量が800cc分小さいながらも、燃料消費量は、それほど期待出来ず、ステップワゴンハイブリッドと然程変わりません。
ハイウェイスターVの車重+10kgの1770kgを超えた場合は、JC08で24.8km/hと1820kgのステップワゴンハイブリッドの燃費25.0km/hを下回る結果になったと考えられます。
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大林 寿行 View All
H社及びM社ドイツエンジン部品メーカー2社を経て、国内自動車メーカーの実験エンジニアに従事。主にクルマのエンジン耐久信頼性実験とその研究に携わる。研究においては、H研究所出向中、エンジン内部の要素研究に着手。自動車技術会、SAEへ研究論文を発表し、「ピストンピン打音発生時の潤滑挙動可視化」やM社時代大学の研究室との共同研究「ディーゼル用スチールピストンの摩擦力と特性とスラップ振動の関係」などがある。また、「内燃機関のピストン構造」で特許を出願。しかし、順風満帆な日々は続かず、うつ病を患うことになり、これからの仕事の仕方について真剣に向き合う。情報発信を駆使して、エンジニアからジャーナリストへの転身を見据え、「エンスージアストへの道」ブログを立ち上げ、クルマ系記事を執筆。今年からは、クルマ系動画クリエイターとして独立を果たし、新車及びカー用品のレビューを本格的に実施。ブログ記事執筆によって、動画の新車レビューでお届け出来なかった内容を執筆し、クルマのエッセンスをより詳しく発信。また、カー用品では、デシダルルームミラーを始めとした、主に新車購入時に注目される用品を中心に、海外メーカーからタイアップの話を頂きつつ更新中。クルマを通じて、誰もが楽しいカーライフが得られるきっかけづくりを目指します。