ポルシェ ボクスター 【セラミックローターの交換の判定基準について】

PCCBの案件について、どのくらいの頻度でローター交換になりますか?という質問を受ける事があります。
私もよく把握しておらず、ポルシェセンターの営業マンに問い合わせをしますが、ほとんど交換の必要はない、またはローターの冷却穴から5mm以上クラックが入った場合には交換という意見を聞くくらいの情報しか得られません。
そこで、明確に判断出来るように、自分なりのにセラミックローターの交換の判定基準について調べてみました。
・熱疲労の有無 → ローター摺動面の冷却穴のクラックが5mm以上は要交換。
・表面粗度 → 80μm(Rk)以上は要交換。 ※新品時は6μm
・摺動面のギズ → 1平方cm以上は要交換。
・ディスクの厚さ → ディスクのベルハウジングに刻印されている最小値以下の場合は要交換。
・摺動面のインジケーターの有無 → 円周上120°刻みで、◯型のインジケーターが有り、見えて来たら要交換のサインとされる。
しかし、新品時でも薄っすらと見える物もあり。これはあくまでも目安と考えられ、ブレーキの機能上関わりのある上記4項目を確認の上で交換する事が妥当であると考えられます。
実際に、自分のクルマで確認をしました。
・R/L側の上部とそこから右周り120°の位置のみにインジケーターを確認。
・冷却穴にクラック無し。
・表面粗度は、限度見本との比較から問題無し。(組織の浮き上がり等による凹凸無し。)
※Porsche 整備書より引用。
・摺動面の傷無し。
・ブレーキローターの厚さ
F/L側 34.31/ min 33.64mm +0.67mm F/R側 33.42/ min 33.68mm +0.74mm
R/L側 28.53/ min 27.81mm +0.72mm R/R側 28.50/ min 27.85mm +0.65mm
以上より、私のローターは、R/L側のみインジケーターが見えていますが、特出する問題はなく、その他のローターと厚さがほぼ同じなので、問題なしと判断しています。
気になっていらっしゃる方は、ご参考下さい。
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大林 寿行 View All
H社及びM社ドイツエンジン部品メーカー2社を経て、国内自動車メーカーの実験エンジニアに従事。主にクルマのエンジン耐久信頼性実験とその研究に携わる。研究においては、H研究所出向中、エンジン内部の要素研究に着手。自動車技術会、SAEへ研究論文を発表し、「ピストンピン打音発生時の潤滑挙動可視化」やM社時代大学の研究室との共同研究「ディーゼル用スチールピストンの摩擦力と特性とスラップ振動の関係」などがある。また、「内燃機関のピストン構造」で特許を出願。しかし、順風満帆な日々は続かず、うつ病を患うことになり、これからの仕事の仕方について真剣に向き合う。情報発信を駆使して、エンジニアからジャーナリストへの転身を見据え、「エンスージアストへの道」ブログを立ち上げ、クルマ系記事を執筆。今年からは、クルマ系動画クリエイターとして独立を果たし、新車及びカー用品のレビューを本格的に実施。ブログ記事執筆によって、動画の新車レビューでお届け出来なかった内容を執筆し、クルマのエッセンスをより詳しく発信。また、カー用品では、デシダルルームミラーを始めとした、主に新車購入時に注目される用品を中心に、海外メーカーからタイアップの話を頂きつつ更新中。クルマを通じて、誰もが楽しいカーライフが得られるきっかけづくりを目指します。