ホンダ、日産、スバル【3社の自動運転支援装置の比較について】
これまで、Honda SENSING、日産のプロパイロット、スバルのアイサイトと乗り比べをして来ました。
制御による違いについて比較をしたいと思い、3社について乗り比べを行いましたが、基本となる機能である、追尾、発進、ブレーキング、操舵のアシストによる自動運転支援の機能に然程の違いはありません。
しかし、メーカーごとに制御の個性が有り、自動運転支援の特徴を出しているところがあります。
まず、日産のプロパイロットは、操舵の支援に重点を置いた自動運転支援装置になっています。
なぜなら、3社ともに操舵による制御が介入するものの、プロパイロットだけは、積極的に操舵で車線からはみ出さないように、ステアリングを自ら操舵しているような、積極的な制御が介入するからです。
また、車線逸脱機能に重点が置かれており、都度レーンからはみ出してしまうと、警告が表示されてしまい、しつこいくらい注意喚起を呼びかけてくれます。
次に、アイサイトですが、この運転支援装置は、人間が意思を持って、クルマを操作している感じで、アクセル及びブレーキ操作を行ってくれるところに特徴があります。
例えば、発進時、普通に自分でクルマを発進させる時と同じようなタイミングで発進してくれますし、ブレーキング時も急なブレーキング操作が入らず、非常に自然でリニアに制動してくれます。
また、止まった時の前方車との車間距離も適度で、止まる瞬間またはその後に詰め直す必要がなく、人間の意思に沿った支援装置になっています。
最後にHonda SENSINGですが、非常にホンダらしいというかこの手の電子制御が不得意と思われる程、特徴が感じられない制御になっており、プロパイロットやアイサイトと比較をすると装置自体のチューニングが甘いように感じます。
なぜなら、操舵中心で運転支援が行われている感じも無いし、発進時は、人間の感覚よりも遅れを感じるし、車間距離も一番短く設定しても、止まりかけの際、再度アクセルを入れて、前に詰め直さなければならないくらい、前方が空いてしまいます。
また、ブレーキング時も初期制動は、そこそこリニアですが、止まりかけの際に、いきなり制動Gが強く立ち上がり、唐突なブレーキングになっており、装置の特徴よりも、装置の悪いところが目立っていたように思うからです。
このように、各社で装置そのものの制御の特色を出していながらも、自動運転支援装置の機能に然程の大差がありません。
しかし、メーカーが力を入れている支援技術の拡張性においては、メーカーごとで違いがあるようにも思い、日産では、積極的な操舵技術を活かし、プロパイロットパーキングの実用性の高さが光ますし、スバルは、人間の感覚に合わせた俊敏でリニアな制御を活かし、ガソリンエンジンでも発進時にギクシャクしない実用性が高い仕上がりになっています。
ホンダは、残念ながら、3社中でも制御の強みが見られないため、拡張性が備わっていないように思いますが、今後、どのような形でメーカーごとで差がついてくるのか楽しみでもあります。
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大林 寿行 View All
H社及びM社ドイツエンジン部品メーカー2社を経て、国内自動車メーカーの実験エンジニアに従事。主にクルマのエンジン耐久信頼性実験とその研究に携わる。研究においては、H研究所出向中、エンジン内部の要素研究に着手。自動車技術会、SAEへ研究論文を発表し、「ピストンピン打音発生時の潤滑挙動可視化」やM社時代大学の研究室との共同研究「ディーゼル用スチールピストンの摩擦力と特性とスラップ振動の関係」などがある。また、「内燃機関のピストン構造」で特許を出願。しかし、順風満帆な日々は続かず、うつ病を患うことになり、これからの仕事の仕方について真剣に向き合う。情報発信を駆使して、エンジニアからジャーナリストへの転身を見据え、「エンスージアストへの道」ブログを立ち上げ、クルマ系記事を執筆。今年からは、クルマ系動画クリエイターとして独立を果たし、新車及びカー用品のレビューを本格的に実施。ブログ記事執筆によって、動画の新車レビューでお届け出来なかった内容を執筆し、クルマのエッセンスをより詳しく発信。また、カー用品では、デシダルルームミラーを始めとした、主に新車購入時に注目される用品を中心に、海外メーカーからタイアップの話を頂きつつ更新中。クルマを通じて、誰もが楽しいカーライフが得られるきっかけづくりを目指します。
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