マツダ CX-5 AWD XD PROACTIVE SKYACTIV-Dの走り
多くのクルマをインプレッションしていますが、マツダのクルマは乗るたびに、欲しいなと思う気持ちになります。
年末に、後期のアテンザセダンをお借りして、インプレッションをさせて頂いた時には、本当にこのクルマが欲しいと思うくらい、クルマの走りが非常に良くて、ステップワゴンから買い替えたいと思ったほどでした。
昨年から今年に入って、多くのSUVに乗るようになり、CX-5を皮切りに、ミニバン以上のスポーツ性の高い走り、質感の高さ、使い勝手の良さ、スタイリングなど、魅力について理解出来るようになってからというもの、SUVにも興味を持つようになりました。
私が期待していたCX-5の走りは、SUVでありながらも、後期アテンザのようなBMW3シリーズの俊敏且つフットワークの軽い走りと5シリーズのような重厚感のある質感でした。
実際に乗せて頂く機会を得て、一発走らせて分かった事は、ステアリングのセンター付近の応答性が鈍いところでした。
この要素は、クルマを選ぶ上で、非常に重要なファクターになります。
なぜなら、ブレーキングをせずともクリア出来る一般道にありがちな緩やかなコーナーでは、まずコーナー進入する際、ステアリングをセンターから曲がりたい方向へ操舵するからです。
進入してすぐ操舵した時に、応答性が鈍く、クルマが行きたい方向へ瞬時にノーズが応答しなかったら、一瞬不安になります。
安心して楽しくドライビングするために最も重要なのは、如何にクルマの状況が、正確にステアリングから入って来るかです。
それが正確でなければ、不安になるし、次にどう操作していいのか迷いが生じます。
アスファルト路面で、車速が低く、明らかに何事も起きない事が分かっている状況下で、いつも走れるならいいですが、気象状況や路面が目まぐるしく変動するのが道路事情の実態です。
その時、リアルに正確なクルマの状況を感じ取れなければ、人間は精度よくクルマを操れないですし、安心して楽しいドライブには繋がって行かないと考えています。
CX-5を非難するつもりはないですが、BMW3シリーズのような俊敏なハンドリングではなかった事を確認出来、後期のアテンザセダンをそのままSUVにしたクルマではない事がよく分かりました。
良い意味で、マツダのブラックシップ、アテンザセダンの走りこそ、マツダ車オリジナルの走りのテイストを持っており、改めて、早朝の都環で走らせたい気持ちになりました。
大林 寿行 View All
H社及びM社ドイツエンジン部品メーカー2社を経て、国内自動車メーカーの実験エンジニアに従事。主にクルマのエンジン耐久信頼性実験とその研究に携わる。研究においては、H研究所出向中、エンジン内部の要素研究に着手。自動車技術会、SAEへ研究論文を発表し、「ピストンピン打音発生時の潤滑挙動可視化」やM社時代大学の研究室との共同研究「ディーゼル用スチールピストンの摩擦力と特性とスラップ振動の関係」などがある。また、「内燃機関のピストン構造」で特許を出願。しかし、順風満帆な日々は続かず、うつ病を患うことになり、これからの仕事の仕方について真剣に向き合う。情報発信を駆使して、エンジニアからジャーナリストへの転身を見据え、「エンスージアストへの道」ブログを立ち上げ、クルマ系記事を執筆。今年からは、クルマ系動画クリエイターとして独立を果たし、新車及びカー用品のレビューを本格的に実施。ブログ記事執筆によって、動画の新車レビューでお届け出来なかった内容を執筆し、クルマのエッセンスをより詳しく発信。また、カー用品では、デシダルルームミラーを始めとした、主に新車購入時に注目される用品を中心に、海外メーカーからタイアップの話を頂きつつ更新中。クルマを通じて、誰もが楽しいカーライフが得られるきっかけづくりを目指します。