トヨタ純正アルミテープ【燃費低減のメカニズムとその施工方法】
一年程前にトヨタ純正アルミテープが流行ったそうで、その効果について多くの動画やブログで語られているのを目にするのではないでしょうか?
私もその一人ですが、恥ずかしいながら、ここ最近アルミテープの事を知って関心を持ちました。
ただし、そのアルミテープが、どういったメカニズムで、燃費低減に寄与するのかが今ひとつ不透明ですし、それに伴って、施工方法も今ひとつ理解が乏しいと感じていました。
そこで今回は、アルミテープが燃費低減に繋がるメカニズムと、その施工方法についてご紹介をしたいと思います。
最近のクルマは、外装部品をはじめ、エンジン部品においても軽量化、低燃費化により樹脂化が進んでいますが、これらの部品は、電気を通しにくい比導電性材料が使われています。
電気を通しにくいので、静電気が帯びやすく、クルマは、エンジンやハイブリッドモーターなど、様々なユニットが稼働しており、路面と接地しているタイヤは、比導電性材料なので、静電気が逃げるところがなく、まさしく静電気の溜まり場となっています。
この状態で、普段クルマに乗って走行をしている訳ですが、その間、クルマは空気に晒されながら走ります。
この空気も+電位を持った物体なので、空気がクルマにあたる時、反発する力が発生しています。
この反発する力を斥力と言いますが、アルミテープをクルマに貼ることによって、この斥力を減らすことが出来ます。
アルミテープは、導電性材料ですので、非常に電気を通しやすい材料です。
これを静電気が帯電しているクルマに貼ることによって、導電路を形成することが出来、アルミテープに静電気を集めることが出来ます。
そうすることで、クルマ全体に帯電していた静電気が狭いアルミテープの部位に集まるので、電位が高くなり、コロナ放電により飛び出した電子が空気分子とぶつかることによって、マイナスのイオンが生成されます。
これによって、走行による空気の流れによって起きていた斥力を抑制する事が出来、空気の乱流が生じにくくなり、走行安定性の改善、空気抵抗も軽減出来るため、燃費低減に繋がると言われています。
次に、どのようにアルミテープを貼るのが一番効果が出せるのか?
実際に、トヨタが純正アルミテープを出すまでの経緯について知りたいと思い、特許公報を調べてみました。
J-PlatPatより「車両の除電装置」で検索すると記載されていますが、この特許公報によると、タイヤのホイール4本にアルミテープを貼ることによって、走行安定性や燃費改善が果たせる事が確認出来、アルミテープの純正化に至ったようです。
アルミテープの貼り方は、1本のホイールにつき、170〜185mmの長さにカットして貼り付けることによって、最も効果が出ると書かれています。
幅については、記載はありませんでしたが、先に記載した高い電位によって、コロナ放電が起こる原理なので、できるだけ細い寸法が良いかも知れません。
走行安定性と気になる燃費性能については、後日、動画でこ紹介をする予定でおりますので、興味のある方は、ぜひ、ご覧ください。
大林 寿行 View All
H社及びM社ドイツエンジン部品メーカー2社を経て、国内自動車メーカーの実験エンジニアに従事。主にクルマのエンジン耐久信頼性実験とその研究に携わる。研究においては、H研究所出向中、エンジン内部の要素研究に着手。自動車技術会、SAEへ研究論文を発表し、「ピストンピン打音発生時の潤滑挙動可視化」やM社時代大学の研究室との共同研究「ディーゼル用スチールピストンの摩擦力と特性とスラップ振動の関係」などがある。また、「内燃機関のピストン構造」で特許を出願。しかし、順風満帆な日々は続かず、うつ病を患うことになり、これからの仕事の仕方について真剣に向き合う。情報発信を駆使して、エンジニアからジャーナリストへの転身を見据え、「エンスージアストへの道」ブログを立ち上げ、クルマ系記事を執筆。今年からは、クルマ系動画クリエイターとして独立を果たし、新車及びカー用品のレビューを本格的に実施。ブログ記事執筆によって、動画の新車レビューでお届け出来なかった内容を執筆し、クルマのエッセンスをより詳しく発信。また、カー用品では、デシダルルームミラーを始めとした、主に新車購入時に注目される用品を中心に、海外メーカーからタイアップの話を頂きつつ更新中。クルマを通じて、誰もが楽しいカーライフが得られるきっかけづくりを目指します。