三菱 デリカ D:5【伝統的なデリカの走り】

三菱のクルマを生まれて始めて乗ることになりました。
私の中での三菱というと、1990年代の初代GTOで、ホンダのVTECよりも早く、可変バルブタイミング&リフト機構を出して来たMIVECや4WDというイメージが強く、その後、ランサーエボリューションが活躍しました。
また、スバル同様ラリーの世界でも活躍し、ランエボのみならず、パジェロ、そしてそのエボモデルで有るパジェロエボリューションというクロカンのホットモデルがあり、ラリーに積極的に参戦し、メーカー名前以上に、クルマの名前がブランド化して行ったと記憶しています。
そして今、GTOもランエボも、そして、パジェロまでもが生産終了してしまいましたが、最近の三菱車は、デザインを全面的に作新して、ソリッドなイメージを打ち出しているように思います。
また、デザインだけでなく、パジェロで培えて来たディーゼル×4WDのクロカンモデルをファミリーカーユースに投入して来たところが、走り好きな私の心を捉えました。
デリカD:5は、Mクラスミニバンよりも車内空間が広いMLクラスミニバンで有り、且つバジェロが持っていたクロカンの走りの機能性を兼ね備えているクルマで有ることから、走りに趣をおいた数少ないオフロードミニバンであり、どんな走りをするのか大変興味を持ちました。
このクルマに試乗して即座に感じたことは、伝統的なクロカンのバジェロの走りを持ちつつ、現代のミニバンのようにシティユースでも使えるクルマの静粛性や質感を融合させた、新しいデリカであるという事でした。
実は、今から30年以上も前のことですが、小学校の担任の先生が初代デリカに乗っていて、乗せてもらったことを今でも記憶しています。
その頃からクルマが好きだったのですが、実は、スポーツカーに興味を持つ前は、三菱デリカ、初代エスティマ、バネットなどのミニバンに興味が有り、父がクルマを買わないかと待ち望んでいたほど、乗りたいと思っていたクルマでした。
その頃のデリカは、ディーゼルの燃焼音やエンジンからの加振力が非常に強く、前席と2列目が仕切られた床が高い車内に乗り込むと、ジープに乗っているかのような。だけど、車内は、壮大な空間が広がっており、こんな広い空間の中で、移動出来るなんて・・・と考えるとワクワクしたものでした。
また、当時は、安全基準も今よりも緩く、シートも対面式に出来たり、横に向けたり、今のミニバン以上にシートレイアウトに自由度があったため、まさに移動する個室でした。
その時、小学1年生でしたが、クルマの印象を今でも強烈に残っていたのが、初代デリカの乗り味でしたが、デリカD:5になっても初代デリカの乗り味は、しっかりと残っており、ファミリーカーなのに、クルマを走らせることにワクワクするクルマで有ることが、デリカD:5の伝統的な走りなのだと感じ取ることが出来ました。
デリカというクルマは、ディーゼルで無くてはならないし、全高が高い4WDでなくてはなりません。
周りのミニバンは、シティーユースで使う事を前提に開発されており、ガソリン以外にハイブリッドモデルがラインナップされていますが、デリカは、デリカ独自路線を歩み続けているが故に、デリカファンまた三菱ファンのためのクルマとして、今後も生き残って行って欲しいクルマであると思いました。
おかげさまでこの日は、エクリプスクロスディーゼル、アウトランターPHEV19モデルにも乗せて頂きましたが、三菱お得意のオフロード、そして、SUVの魅力を見せつけられた試乗となりました。
大林 寿行 View All
H社及びM社ドイツエンジン部品メーカー2社を経て、国内自動車メーカーの実験エンジニアに従事。主にクルマのエンジン耐久信頼性実験とその研究に携わる。研究においては、H研究所出向中、エンジン内部の要素研究に着手。自動車技術会、SAEへ研究論文を発表し、「ピストンピン打音発生時の潤滑挙動可視化」やM社時代大学の研究室との共同研究「ディーゼル用スチールピストンの摩擦力と特性とスラップ振動の関係」などがある。また、「内燃機関のピストン構造」で特許を出願。しかし、順風満帆な日々は続かず、うつ病を患うことになり、これからの仕事の仕方について真剣に向き合う。情報発信を駆使して、エンジニアからジャーナリストへの転身を見据え、「エンスージアストへの道」ブログを立ち上げ、クルマ系記事を執筆。今年からは、クルマ系動画クリエイターとして独立を果たし、新車及びカー用品のレビューを本格的に実施。ブログ記事執筆によって、動画の新車レビューでお届け出来なかった内容を執筆し、クルマのエッセンスをより詳しく発信。また、カー用品では、デシダルルームミラーを始めとした、主に新車購入時に注目される用品を中心に、海外メーカーからタイアップの話を頂きつつ更新中。クルマを通じて、誰もが楽しいカーライフが得られるきっかけづくりを目指します。