三菱 エクリプスクロス ブラックエディション 【2.2L 直列4気筒 ディーゼルエンジンの実力】

エクリプスクロス ディーゼルモデルには、デリカD:5にも搭載されている4N14エンジンが搭載されています。
デリカD:5に対して、300kg程度軽い車重でありながらも、同じエンジンを搭載しているので、どれほどの動力性能を持っているクルマなのか気になる方も多いかと思います。
エンジンスペックは、 出力145ps/3500rpm、トルクが380Nmで、燃費性能がJC08モードで15.2km/L、WLTCモードで14.2km/Lとなっています。
実は、この時点で、えっ!と思っていました。
SUVディーゼルというと、マツダCX-5が瞬時に思い浮かびますが、先日乗ったCX-5のエンジンスペックは、マツダの直列4気筒2.2L SKYACTIV Dの出力190ps/4500rpm、トルク450Nm/2000rpm、燃費がXD 4WD仕様のWLTCモードで18.6km/L走ります。
また、排ガス性能として、三菱は、尿素SCRを使っているのに対して、日本仕様のマツダのディーゼルは、DPFのみの仕様となっているにも関わらず、出力、燃費、排ガスの基本性能全てにおいて上回っています。
さらに、エクリプスクロスと言えば、競合車種として、小型SUVのトヨタCH-Rやホンダベゼルを思い浮かびますが、ディーゼルモデルの車重は、ミドルクラスのCX-5 4WDとほぼ同じ1690kgもあります。
これらを念頭に入れて、ディーゼルエンジンの印象について少し話をすると、エンジンからの燃焼音は頻繁に聞こえるし、NV性能はCX-5に劣ります。
但し、このディーゼルの燃焼音は、三菱らしさを引き立てており、サウンドとして貢献しているせいか、耳障りではありませんでした。
エンジンの回転フィールは、マツダ車のようにガソリンのような軽い回転フィールとエンジンからの振動は、同等レベルまでに煮詰められており、直4とは思えないような質感を持ったユニットになっていました。
動力性能は、出力が50ps程度高いCX-5の方が、キビキビとしたスポーツSUVのイメージが強く、それほど動力性能が高いユニットが乗ったクルマというイメージは、正直受けにくかったです。
最後に価格ですが、乗り出し価格がだいたい420万円前後で、小型SUVと考えると少し割高感があります。
また、CX-5と比較をすると最上級モデルのXD 4WD エクスクルーシブモードが買えてしまうので、さらに割高感があるように思います。
昔から三菱が好きで、エクリプスクロスのソリットなデザインが欲しいという方以外は、マツダCX-5をオススメします。
あまりオープンになっていないように思いますが、愚直に開発を進めて来たマツダに対して、不祥事が続いた三菱の技術は、正直遅れを取っていることは、紛れもない事実ではないかと、競合のマツダCX-5と比較をして気づいた事です。






大林 寿行 View All
H社及びM社ドイツエンジン部品メーカー2社を経て、国内自動車メーカーの実験エンジニアに従事。主にクルマのエンジン耐久信頼性実験とその研究に携わる。研究においては、H研究所出向中、エンジン内部の要素研究に着手。自動車技術会、SAEへ研究論文を発表し、「ピストンピン打音発生時の潤滑挙動可視化」やM社時代大学の研究室との共同研究「ディーゼル用スチールピストンの摩擦力と特性とスラップ振動の関係」などがある。また、「内燃機関のピストン構造」で特許を出願。しかし、順風満帆な日々は続かず、うつ病を患うことになり、これからの仕事の仕方について真剣に向き合う。情報発信を駆使して、エンジニアからジャーナリストへの転身を見据え、「エンスージアストへの道」ブログを立ち上げ、クルマ系記事を執筆。今年からは、クルマ系動画クリエイターとして独立を果たし、新車及びカー用品のレビューを本格的に実施。ブログ記事執筆によって、動画の新車レビューでお届け出来なかった内容を執筆し、クルマのエッセンスをより詳しく発信。また、カー用品では、デシダルルームミラーを始めとした、主に新車購入時に注目される用品を中心に、海外メーカーからタイアップの話を頂きつつ更新中。クルマを通じて、誰もが楽しいカーライフが得られるきっかけづくりを目指します。