ホンダ NSX NC1【今でも憧れが耐えない和製スーパースポーツ】

近所の某ホンダディーラーさんにNSXの試乗車を扱っており、他のクルマと同じように試乗させて頂けると言うことで伺ってきました。
いつもは、まったく買う気がなく、クルマを見せて貰いに行くだけがほとんどなのですが、このクルマだけは、私に取って特別なクルマで、新型になっても憧れが耐えないクルマだったので、商談しにいく構えで、久しぶりにドキドキしました。
限られた時間、限られた一般道でしたが、地元の走り慣れた道が試乗コースだったので、クルマの性格がよく掴むことが出来ました。
NSXと言えば、ファワードキャノピーデザインが、クルマのカッコよさが最高に引き立てられている事と、それでいて、良い意味で、普通の乗用車と同じように乗れる乗りやすさを持ていることが特徴的なところです。
それは、この新型でもしっかりと継承されています。
先代のエクステリアは、リヤトランクを持つが故に、欧州のスーパースポーツと比べるとオーバーハングが長く、それが唯一個人的には許せなかったのですが、新型になって、全幅がワイドになり、リヤトランクは継承されながら、オーバーハングを詰めてきたスタイリングは、先代を超えたスーパースポーツの風格を得たと納得しています、
また、乗りやすさについては、先代よりも更に普通に乗れるクルマになってしまった印象がありました。
特に+αで、乗りやすさが増したと感じたことは、今回、トラックモードにはしませんでしたが、スポーツ+モードで、一瞬フルスロットルで加速させた時、何事もなかったかのように、リヤタイヤが横に滑り出すことなく、まっすぐトラクションがかかり、そのまま何事もなかったかのような穏やかな加速感でした。
そこから感じたことは、誰でもアクセルが踏めて加速できるクルマに仕上がっている事でした。
これだったらアウトバーンで300km/hで走らせても、サーキットでテールスライドしても、車内空間からは穏やかに外界の風景が流れていくだけなので、まったく怖さを感じる事なく、クルマを走らせることが出来るのではないかと思うほどでした。
しかし、単なる乗用車であれば、どんな時でも絶大な安心感を持って走れることは、非常に重要且つ期待される要素かも知れませんが、NSXは、スーパースポーツです。
あまりにもクルマが普通で穏やかな故に、運転している時のスポーツカーとしての刺激が足りないと感じてしまいました。
この感覚は、先代NSX typeSに乗っていた時、手放そうと決断をした動機にもなりました。
見た目は、スーパーカーで、所有していることに喜びを感じるのだけれども、実際に、クルマを走らせてみると、乗用車に近くて、ドライビングの刺激が足りず、ビジュアル的満足感とドライビングの不満の格闘から、長期に渡り苦悩した過去の記憶が蘇りました。
あの当時から今まで、様々なクルマに乗ってきて、981型ポルシェボクスターGTSに、価格、見た目、走り、刺激の要素で観ると、非常にコスパが高く満足をしていますが、ポルシェは、スポーツカーとしてのスパルタンさがどんな時でも感じる事が出来、日常の足としても使える乗りやすいクルマになっています。
さらに、911 GT3 991.2型は、ボクスター・ケイマンに対して、自然吸気エンジンながらも、4.0L 500ps/ 9000rpmという市販のレーシングエンジンが乗るほど硬派で、それでいて街乗りでも乗りやすく、NSXよりも安い価格帯で売られているほどです。
だから、今となっては、ポルシェの走りのテイストを知ってしまい、NSXの人間中心論の走りに刺激の足りなさを新型でも感じてしまいましたが、それでも、10代から憧れてきた和製スーパースポーツが故に、いささかドライビングに刺激がなくとも、ホンダの工業製品としてこのクルマを所有していたいそんな気持ちにさせてくれるのが、私にとっての新型NSXで有ることが分かりました。
価格は、フルオプション装備で3000万円、ホンダや今力を貸して頂いているホンダ関連の方々の恩返しとして、クルマが買える身分になれたなら、迷わず買いたいと思っています。
このあと、20年モデルが出る予定になっていますが、ドライビングにさらなる刺激を添加されて、登場してくれることを楽しみにしたいです。









大林 寿行 View All
H社及びM社ドイツエンジン部品メーカー2社を経て、国内自動車メーカーの実験エンジニアに従事。主にクルマのエンジン耐久信頼性実験とその研究に携わる。研究においては、H研究所出向中、エンジン内部の要素研究に着手。自動車技術会、SAEへ研究論文を発表し、「ピストンピン打音発生時の潤滑挙動可視化」やM社時代大学の研究室との共同研究「ディーゼル用スチールピストンの摩擦力と特性とスラップ振動の関係」などがある。また、「内燃機関のピストン構造」で特許を出願。しかし、順風満帆な日々は続かず、うつ病を患うことになり、これからの仕事の仕方について真剣に向き合う。情報発信を駆使して、エンジニアからジャーナリストへの転身を見据え、「エンスージアストへの道」ブログを立ち上げ、クルマ系記事を執筆。今年からは、クルマ系動画クリエイターとして独立を果たし、新車及びカー用品のレビューを本格的に実施。ブログ記事執筆によって、動画の新車レビューでお届け出来なかった内容を執筆し、クルマのエッセンスをより詳しく発信。また、カー用品では、デシダルルームミラーを始めとした、主に新車購入時に注目される用品を中心に、海外メーカーからタイアップの話を頂きつつ更新中。クルマを通じて、誰もが楽しいカーライフが得られるきっかけづくりを目指します。