ポルシェ 911 GT3 991.2 6MT【4.0L NA 500ps 9000rpmの刺激】

昨年の年末になりますが、私が今もっとも欲しいと思っているクルマであるポルシェ911 GT3 タイプ991.2 6MTに乗せて頂く機会を得ることが出来ました。
今でもその時の刺激はしっかりと残っていますが、このクルマは、先週紹介したNSX NC1型とはまた違ったクルマで、人間が操る領域がしっかりと残されているアナログなクルマでありながら、スポーツカーとしての刺激が遺憾なく感じ取れるクルマになっています。
動画でも紹介をしていますが、ターボモデルの911カレラとはまったく違うクルマで、大きく違う所がクルマの軽さです。
911カレラですと、1500kgを軽く超えますが、このクルマは、ピュアスポーツカーのボクスター・ケイマンの車重に近い1400キロ前半と、現代の輸入車としては、非常にライトウエイトなクルマになっていることが特徴です。
さらに、ステアリングの操舵フィーリングも911カレラとはまったく違います。
RRだからステアリングの操舵感が乏しい印象が911カレラにはありますが、ミドシップながらFRのようなしっかりとした操舵フィールを持つボクスター・ケイマンと比較をしてもしっかりとした、もはやRRと思えない操舵フィールがこのGT3は持っています。
そして、高速走行時も、エンジンの下にディーフューザーがついており、前後の重量バランスがしっかりと整っており、フロントがリフトしてナーバスになる感じがまったくなく、速度が乗れば乗るほど、前後重量バランスがしっかりと釣り合うような、そんな精密な走りを楽しむことが出来るのも、このGT3の特徴的なところです。
極めつけが4.0L NAで500psを誇る水平対向6気筒で9000rpm回るエンジンです。
乗って回したことのある人なら分かるかと思いますが、2速から9000rpmまで回して、3速に入れるまでに180kmを超える出力を持っていますが、その時の加速感は、レーシングエンジンその物です。
6気筒の甲高い鼓動と共に6気筒と水平対向ならではの2次振動の少なさによる滑らかなフィールで、エンジン出力が盛上がりっていく、このクルマでしか味わえないレーシングエンジンの歯切れの良さこそがこのクルマのハイライトと言えるのではないかと思います。
500psの出力は、3速で180kmを超えてしまうので、思う存分シフトアップしながら、GT3のフラットシックスの音を楽しむとなると、公道では不可能です。
だからこそ、このクルマを遺憾なく楽しむためには、サーキットがベストですし、マニュアルがベストであると乗った感想からそう思いました。
逆の言い方をすると、エンジンを遺憾なく回せる道でないと物足りなさを感じてしまいます。
スポーツエキゾーストを入れても、981ボクスターGTSのように、爆発するような刺激チックなサウンドはありませんし、低周波に包まれた籠もり音の環境下で運転することになるので、公道向けのクルマではありません。
しかし、乗り味については、911カレラのように快適に走れてしまうのもこの911GT3の特徴であり、サーキットにベストに仕上げたクルマながらも、しっかりと行きと帰りまでの走りも快適なドライブを約束してくれるそんな魅力的なクルマと言えるでしょう。
最後に私も気になっているクルマなので、GT3RSを含めてたクルマの相場ですが、911.2 6MTの相場が2500万円前後とPDKや前期GT3RSと比べると400万円程、価格が上がっています。
このクルマの最大のハイライトである9000rpm回るエンジンを遺憾なく味わうならば、サーキット以外に選択はなく、マニュアル以外に無いことを考えると、多少高くてもマニュアルを選んで失敗はないかと思います。
週末、992の試乗を兼ねて、991.2を改めて見てくる予定でおります。













大林 寿行 View All
H社及びM社ドイツエンジン部品メーカー2社を経て、国内自動車メーカーの実験エンジニアに従事。主にクルマのエンジン耐久信頼性実験とその研究に携わる。研究においては、H研究所出向中、エンジン内部の要素研究に着手。自動車技術会、SAEへ研究論文を発表し、「ピストンピン打音発生時の潤滑挙動可視化」やM社時代大学の研究室との共同研究「ディーゼル用スチールピストンの摩擦力と特性とスラップ振動の関係」などがある。また、「内燃機関のピストン構造」で特許を出願。しかし、順風満帆な日々は続かず、うつ病を患うことになり、これからの仕事の仕方について真剣に向き合う。情報発信を駆使して、エンジニアからジャーナリストへの転身を見据え、「エンスージアストへの道」ブログを立ち上げ、クルマ系記事を執筆。今年からは、クルマ系動画クリエイターとして独立を果たし、新車及びカー用品のレビューを本格的に実施。ブログ記事執筆によって、動画の新車レビューでお届け出来なかった内容を執筆し、クルマのエッセンスをより詳しく発信。また、カー用品では、デシダルルームミラーを始めとした、主に新車購入時に注目される用品を中心に、海外メーカーからタイアップの話を頂きつつ更新中。クルマを通じて、誰もが楽しいカーライフが得られるきっかけづくりを目指します。