スズキスイフトスポーツ ZC33S 型 インプレッション【もはや欧州車のホットハッチ】
先日、久しぶりにエニカを利用して、スイフトスポーツの試乗インプレッションを動画で配信致しました。
このクルマの話題性は、なんと言っても、現代の衝突安全基準をクリアしながらも970kgという超軽量なクルマであることです。
そして、1.4L直噴直列4気筒のブースタージェットターボエンジン。
最後にマニュアル車でありながらも、アダプティブクルーズコントロール(ACC)が搭載されている事です。
シャシー性能で非常にびっくりした事は、これだけ軽い車体でありながらも、高速操安性が非常に高いということです。
通常これだけ軽い車体ですと、路面の荒れやアンジュレーション等で、クルマがふらついたり、はねたりすることが常だったりするのですが、このクルマにはそれが一切ありません。
さらに驚いたことに、速度を上げていっても、通常と同じように走るペースとまるでクルマの状態に変化がありません。
クルマが浮き上がり、タイヤの接地性が乏しくなることもないし、余計な振動や衝撃などのハーシュネスを拾うこともなく、まさに水上をボートで走るような非常に安心感の高い操縦性を兼ね備えています。
またさらに驚かされたことが、このターボエンジンで、タービンのウエストゲートがノーマルクローズで、立ち上がりから加給が立ち上がるため、低中速域の図太いトルクを使って走るエンジンだと言われていますが、もう一つ魅力があります。
それは、高速域で車体が非常に安定していることに相まって、1.4Lとは思えない豊かなトルクが、速度上昇と同期して、どこまでもついて来るようなトルクバンドの広さがあることです。
通常同クラスのクルマですと、スイフトスポーツのような高速安定性が高いクルマもそうそうあるものではなく、私が直近で関心したクルマがホンダフリードのモデューロXくらいです。
そのくらい高速安定性の高さが異次元で、更に日本車の次元を超えていて、ヨーロッパのBMWに匹敵するような余裕があるわけですが、そうなると安心感が高まるので、いつも以上にアクセルが踏めるようになります。
1.4Lなので、中高速域で巡航するのは厳しいだろうなと思うのが、日本車のこのクラスの常ですが、このスイフトスポーツは、車体の直進安定性と相まって、エンジントルクもワイドレンジで、力強い走りがどの速度領域でも楽しめるクルマになっているところが、隠れたもう一つの魅力です。
力強いワイドなトルクバンドを持ったエンジンと相まって、MTながらもACCが付いているので、低速から高速域まで快適にクルージングが出来る装備があるところも見逃せないところです。
これまでのホットハッチは、日本の狭い道やミニサーキットで走らせて楽しいクルマというイメージが強かったですが、このスイフトスポーツは、日本の道を超えて、ヨーロッパの道をも楽しく走らせることが出来るクルマへと進化していることに新しい走りの世界観がありました。
しかも、これだけ走りパフォーマンスが高いにも関わらず、日本では200万円前半で買えてしまうクルマとなっており、隠された走りの理想形を兼ね備えた数少ないクルマでありつつも、バーゲンプライスだと感じました。
軽自動車メーカーのスズキが、これだけ良い車が作れるメーカーだったのだと、このクルマに乗って、これまでのイメージが一変しました。














大林 寿行 View All
H社及びM社ドイツエンジン部品メーカー2社を経て、国内自動車メーカーの実験エンジニアに従事。主にクルマのエンジン耐久信頼性実験とその研究に携わる。研究においては、H研究所出向中、エンジン内部の要素研究に着手。自動車技術会、SAEへ研究論文を発表し、「ピストンピン打音発生時の潤滑挙動可視化」やM社時代大学の研究室との共同研究「ディーゼル用スチールピストンの摩擦力と特性とスラップ振動の関係」などがある。また、「内燃機関のピストン構造」で特許を出願。しかし、順風満帆な日々は続かず、うつ病を患うことになり、これからの仕事の仕方について真剣に向き合う。情報発信を駆使して、エンジニアからジャーナリストへの転身を見据え、「エンスージアストへの道」ブログを立ち上げ、クルマ系記事を執筆。今年からは、クルマ系動画クリエイターとして独立を果たし、新車及びカー用品のレビューを本格的に実施。ブログ記事執筆によって、動画の新車レビューでお届け出来なかった内容を執筆し、クルマのエッセンスをより詳しく発信。また、カー用品では、デシダルルームミラーを始めとした、主に新車購入時に注目される用品を中心に、海外メーカーからタイアップの話を頂きつつ更新中。クルマを通じて、誰もが楽しいカーライフが得られるきっかけづくりを目指します。