トヨタ GR スープラ 【走りはBMW3シリーズMスポーツ】

1970年代生まれの私にとって、スープラといえば、セリカXX、2.5Rの70スープラ、2JZ搭載の80スープラRZとハイパワーFRスポーツクーペとして、ブランドを気づき上げて来ました。
そして、今回、久しぶりの登場で、BMWZ4、BMW3シリーズG30のOEMとして、2019年トヨタスープラA90型が登場しました。
今回、お借りしたクルマは、SZでしたが、過去にもZ4M40iにも乗せて貰っていたので、新型Z4の走りを予め確認した上で、スープラに乗りました。
初一発乗った印象は、「走りはBMW3シリーズMスポーツ」その物。
見た目は、クーペボディー且つショートホイールベースのクルマでありながらも、3シリーズのゼダンではなく、ツーリングのような、FRでありながらも、特にコーナーリング時のリヤの接地感の高さを感じるハンドリングを持ったクルマでした。
しかし、リヤの接地感の高さを感じる分、フロントの舵の抜けを感じ、クルマがシャープに回頭してくれる感じではなく、アンダーステア傾向で、安定志向に振ったセッティングになっており、スポーツカーとしての切れのあるのハンドリングと、少し反する印象でした。
また、サスペンションは、首都高のような連続する路面の段差で、Mスポーツ以上に突き上げを感じる程、乗り味に硬い印象が残りました。
従って、総評は、Mスポーツ以上に引き締められた足廻りを与えたならば、リヤの安定感の高さはそのままで、もう少しスポーツカーとして、フロントの切れの有るハンドリングを実現して欲しいかったです。
今回、FRスポーツを作って来たBMWの走りを取り入れたスープラですが、走りの方向性は、同じFRスポーツの共通項がありました。
しかし、走りそのものは、BMWその物の走りになってしまい、スープラとしてのトヨタオリジナルの走りがなくなってしまった事が、少し残念に思いました。
それは、SZ-RでもRZでも、艤装パーツ以外は、BMWですので、BMWの走りから外れることはない、つまり、BMW Z4 M40iの走りからも、まったく異なる事はないのです。
それは、何を意味しているのか?
ポルシェ以上のクルマに乗ってみた時、ピュアスポーツカーでなければ、超えられない壁を知ることになり、はじめて、グレード問わずスープラの基本の立ち位置が分かることになるという事です。





















大林 寿行 View All
H社及びM社ドイツエンジン部品メーカー2社を経て、国内自動車メーカーの実験エンジニアに従事。主にクルマのエンジン耐久信頼性実験とその研究に携わる。研究においては、H研究所出向中、エンジン内部の要素研究に着手。自動車技術会、SAEへ研究論文を発表し、「ピストンピン打音発生時の潤滑挙動可視化」やM社時代大学の研究室との共同研究「ディーゼル用スチールピストンの摩擦力と特性とスラップ振動の関係」などがある。また、「内燃機関のピストン構造」で特許を出願。しかし、順風満帆な日々は続かず、うつ病を患うことになり、これからの仕事の仕方について真剣に向き合う。情報発信を駆使して、エンジニアからジャーナリストへの転身を見据え、「エンスージアストへの道」ブログを立ち上げ、クルマ系記事を執筆。今年からは、クルマ系動画クリエイターとして独立を果たし、新車及びカー用品のレビューを本格的に実施。ブログ記事執筆によって、動画の新車レビューでお届け出来なかった内容を執筆し、クルマのエッセンスをより詳しく発信。また、カー用品では、デシダルルームミラーを始めとした、主に新車購入時に注目される用品を中心に、海外メーカーからタイアップの話を頂きつつ更新中。クルマを通じて、誰もが楽しいカーライフが得られるきっかけづくりを目指します。