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Ferrari F355 F1 berlinetta GTS spider【F1マチック耐久・信頼性向上プロジェクト】

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F1マチックの耐久・信頼性向上に向けたプロジェクトに向けた準備をはじめました。

そもそも、なぜ、F1マチックは、6MT車よりも不人気かというと、F1マチックに使われる装置のシールの耐用年数が、比較的短いからと言われています。

フェラーリ問わず、日本車に比べてヨーロッパ車は、特にオイル漏れのトラブルが多く、それが理由で、維持できなくなり、手放される方が多く観られます。

骨格部品その物は、全く問題なく使えるのに、樹脂部品のクラックやシール材が弱かったりして、水周りから水が漏れたり、エンジンやミッションのシール面からオイルが漏れたりします。

それによって、エンジンやミッションを下ろしたり、水周りを一式交換したりと、重作業となってしまうので、かなり修理コストがかかってしまいます。

F1マチックもアクチュエーター、オイルポンプ、ミッションにドッキングされるセレクター、それらを繋げる油圧配管等で構成されていますが、それらも油圧を使ったユニットなので、所々にOリングやガスケットによって、繋ぎ面がシールされています。

しかし、6年以上が経過すると、そのシール面のOリングやガスケットが劣化し、オイルがリークするようになります。

それによって、セレクターの動きやクラッチの断続が鈍くなり、シフトが入りにくくなったりして、危険信号が出てきます。

さらに、それを放置しておくと、どんどんオイルが漏れるようになり、ユニット自体にもオイルが減ってくるので、オイルを圧送させるモーターが過負荷で焼き付くトラブルが出てきます。

最後には、モーターが焼き付いてしまうので、ユニット内に規定の油圧が得られないため、変速出来なくなり、不動車となるケースがほとんどのようです。

それでは、どうやったら未然にF1マチックのトラブルが防げるのでしょうか?

それは、正常に作動している時の、F1マチックの作動の仕方を認識しながら、乗る事がまず大切です。

毎回、同じ変速の作動を監視しながら乗るので、それによって、定点観測が出来ます。

いつもと作動が違って来たと感じ取る事が、まず、ドライバーとして必要な仕事だと考えます。

バドルでシフトアップしているのに、作動しないとか、頻発してシフトミスするとか。

日々の定点観測により、トラブルの出始めが把握出来るはずなので、その時、放置しておかずに、システムのオイル漏れの確認をすることが、最も重要になって来ると思われます。

そして、もう一つが、オイル漏れをしていなくても、作動不良を起こす場合も充分考えられ、オイル劣化によって、油圧ラインにデポジットが堆積する可能性があります。

少なくとも、油圧が発生することで、熱を伴い、長時間連続的に作動し続けますし、さらに、リヤバンパー左後ろにマウントされるため、オイルラインが、エンジンやマフラーからの発熱による影響も受けます。

ですので、少し短いインターバルでF1マチックのオイル交換をすることが、重要になってくると思われます。

最後に最も根本的に重要な事は、Oリングやガスケットなどのシール部品を作り変えることです。

冒頭でも述べましたが、欧州の樹脂やシール部品は、非常に耐久信頼性が、日本車で使われているシール部品よりも乏しいです。

経年劣化によるオイルのリークを長期化するためには、日本車で多く採用されているメーカーの部品を使う以外、手立てが無いように思います。

しかし、これらの部品を新規で採用するとなると、F1マチックのユニットを集めて、一つ一つ使っているシール部品の採寸をチェックすることから始めなければならないので、普通の方ですと非常にハードルが高いです。

そこで、今回、F1マチックのユニットを集めて、実績のあるメイドインジャパンのシール部品に作り変える事を検討してます。

それによって、F1マチックのシール部品一式の販売、また要望があれば、F1マチックのO.H等も視野に入れて、F355動態保存会に向けたプロジェクトを推進していく予定でおります。

また、F1マチックの耐久信頼性がある程度、手の内化した際は、次なるプロジェクトも準備しているので、ぜひ、ご期待頂けたら幸いです。

大林 寿行 View All

H社及びM社ドイツエンジン部品メーカー2社を経て、国内自動車メーカーの実験エンジニアに従事。主にクルマのエンジン耐久信頼性実験とその研究に携わる。研究においては、H研究所出向中、エンジン内部の要素研究に着手。自動車技術会、SAEへ研究論文を発表し、「ピストンピン打音発生時の潤滑挙動可視化」やM社時代大学の研究室との共同研究「ディーゼル用スチールピストンの摩擦力と特性とスラップ振動の関係」などがある。また、「内燃機関のピストン構造」で特許を出願。しかし、順風満帆な日々は続かず、うつ病を患うことになり、これからの仕事の仕方について真剣に向き合う。情報発信を駆使して、エンジニアからジャーナリストへの転身を見据え、「エンスージアストへの道」ブログを立ち上げ、クルマ系記事を執筆。今年からは、クルマ系動画クリエイターとして独立を果たし、新車及びカー用品のレビューを本格的に実施。ブログ記事執筆によって、動画の新車レビューでお届け出来なかった内容を執筆し、クルマのエッセンスをより詳しく発信。また、カー用品では、デシダルルームミラーを始めとした、主に新車購入時に注目される用品を中心に、海外メーカーからタイアップの話を頂きつつ更新中。クルマを通じて、誰もが楽しいカーライフが得られるきっかけづくりを目指します。

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