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Ferrari F355 エアコン故障診断から得た、現状維持ではなく、再発防止という発想。

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預かっています355F1 Na号のエアコン修理を本格的にはじめました。

まずは、故障診断をもう一度念入りに、主要部品を一つずつ潰し込みをしました。

通常だと有名なPRIZEさんじゃないと出来ないような故障診断、またフェラーリテスターがないと診断出来ないと思われがちですが、実は、はっきりとした故障診断が出来ます。

それは、なぜか?

完動車の355F1がもう一台有るからです。

今日は、エアコントラブルを抱えているNa号の主要部品、ECU、リレー、コントローラー、そして、ブロアモーターと外せるパーツは外して、私の355F1に組み込んで作動するかを確認しました。

その結果、リレー、コントローラー、ブロアモーターは、壊れていないことが確定。

ブロアモーターは、外すのに手間がかかるので、直接、バッテリー電源を供給して、回転するかを確認しました。

結果は、元気よく回転してくれました!(笑)

これによって、半分くらい故障診断が終わったかと思いきや、良品のECUをNa号に付けても、ブロアモーターが回らない症状が出ます。

ECUは、私のクルマで壊れていない事が確認取れているし、ブロアモーターも12V供給すれば回るのに、なぜかコントローラーの風量を最強にしても、ブロアが回らない事に頭を悩ませます。

そこで、以前紹介した、350万円のF355を自力で直したNo氏の経験から得た知恵を貰いました。

以下は、彼の紹介記事です。

それは、助手席の足元にあるヒューズボードの劣化です。

過去にエアコンの修理をした事があるNo氏によると、このボードの半田が割れてしまっていて、接触不良を起こしている事が原因ではないかと想定。

写真は、当時No氏がばらした時のヒューズボードですが、経年劣化とエアコンを使うと最大30A前後の電流が流れるため、回路に大きな熱が生じます。

それによって、半田がサーマルショックを繰り返して、割れるトラブルが発生するため、こういったネオクラシックのクルマは、電装系にトラブルが出やすいと言えます。

ちなみに、同じ作りになっているECUですが、故障の原因は、半田の割れによる接触不良です。

この事実が下の写真で確認出来ます。

よって、サーマルショックによる経年劣化で、半田が割れてしまうことから、エアコンにトラブルが出てしまっていると考えられます。

以上から、故障診断は、大体終えたはずですが、ECUとヒューズボードの修理を引き続き行います。

ここで気づいて欲しい事があります。

通常、有名なショップさんで修理をされる場合、どうしても純正パーツ、またはリビルト品に頼って修理をしなければならない現状があると思っています。

しかし、我々は、例え新品またはリビルドそ品で有っても、メーカが対策品として供給している部品で無い限り、その修理方法は、現状維持に留まると考えています。

必ず何年後かには、また同じ症状が出るはずです。

一般的なオーナー目線でみれば、どうせその頃にはクルマ売るだろうし、違うクルマに乗っていると思うため、別に軽い話なのかも知れませんが、生涯F355に乗り続ける決意をしているNo氏また私にとっては、現状維持でしかない修理方法なのです。

フェラーリは壊れやすいクルマで有ることは事実だと思います。それは、フェラーリはレース屋さんで、世界的に観ても富裕層向けのクルマで有る事は明白です。

ですから、お客様から飛んでくる市場トラブル対応は、大衆向けの自動車メーカーよりも遥かに遅れているだろうと思います。

要するに、耐久性に対して、煮詰めが甘い状態で、世の中に出てきてしまうから、ドラブルが後を立たないだろうと思います。

このような現状を知った上で、我々は超高価な純正パーツを買わされ、しかも、数年後には壊れる確約が付いた未完成のパーツを買わされ、そんなパーツを付けてクルマを維持して行かなければならないことを考えると、悪循環だと思うのです。

だから、少しでも現状維持ではなく、再発防止策をクルマに乗せた修理を広げ、これからF355の保存会を広げて行く意味でも、取り組んで行きたいと思った次第です。

日本及びドイツの部品メーカーで、自動車部品開発していた経験を活かして、部品及び車両に信頼性を可能な限り乗せて行けたらと考えています。

次回は、エアコンECUとヒューズボードが修理出来た段階で、エアコンが再起したのかをお伝え出来たらと思っています。

大林 寿行 View All

H社及びM社ドイツエンジン部品メーカー2社を経て、国内自動車メーカーの実験エンジニアに従事。主にクルマのエンジン耐久信頼性実験とその研究に携わる。研究においては、H研究所出向中、エンジン内部の要素研究に着手。自動車技術会、SAEへ研究論文を発表し、「ピストンピン打音発生時の潤滑挙動可視化」やM社時代大学の研究室との共同研究「ディーゼル用スチールピストンの摩擦力と特性とスラップ振動の関係」などがある。また、「内燃機関のピストン構造」で特許を出願。しかし、順風満帆な日々は続かず、うつ病を患うことになり、これからの仕事の仕方について真剣に向き合う。情報発信を駆使して、エンジニアからジャーナリストへの転身を見据え、「エンスージアストへの道」ブログを立ち上げ、クルマ系記事を執筆。今年からは、クルマ系動画クリエイターとして独立を果たし、新車及びカー用品のレビューを本格的に実施。ブログ記事執筆によって、動画の新車レビューでお届け出来なかった内容を執筆し、クルマのエッセンスをより詳しく発信。また、カー用品では、デシダルルームミラーを始めとした、主に新車購入時に注目される用品を中心に、海外メーカーからタイアップの話を頂きつつ更新中。クルマを通じて、誰もが楽しいカーライフが得られるきっかけづくりを目指します。

2 thoughts on “Ferrari F355 エアコン故障診断から得た、現状維持ではなく、再発防止という発想。 Leave a comment

  1. 素晴らしいサイトを拝見させていただくことが出来て、うれしく思います。
    私も、ボンビーなリーマン355オーナーですが、全くの素人ながら、ただ保有し修理を続けてきました。
    そろそろ、金銭的にも技術的にも限界かと思っていましたが、355以上の車を見つけることが出来ずに、ズルズルと保持しています。
    No氏のお話を拝見すると、私の苦労などまだまだだと感じました。
    勝手ながら、思わずコメントさせていただきましたが、これからも頑張って、このサイトを続けていただけると嬉しいです。
    応援しています。

    • 大変励みになるご意見を残して頂き、誠にありがとうございます ! No氏私共に355及びクルマに時間の全てを投下しています。どうしても、副業で合ったり、他の仕事を抱えてしまうと、本来取り組むべき事が中途半端になってしまったり、アウトプットが出にくい事をこれまでの自分を振り返り感じてします。幸いにして、情報発信の時代が盛んになり、趣味を基盤とした活動は、公に広げる事が可能です。読みてにとって、知りたい情報や具体的な対応策が盛り込まれていれば、生活していく事も可能になってきます。そこで全てが投下出来るようになので、おのずと効果代が出せるのだと我々は考えています。私も355以上のクルマはないと考えています。スタイル、音、走り、そして、機能改善と、現代のクルマでは経験する事が出来ない、楽しめる領域があります。私は、仕事柄、クルマの機能改善を図って来た人間でもあるので、大好きな355に投下出来る事で充実感を感じながら、世の中の355オーナーの方々に貢献出来たらこれ以上の喜びは無いと考えております。冷却システムの改善、F1マチックの作動不良、そして高回転域での排気側バルブの溶損、クランクの捻じれ破損、そして、手に入らない部品の供給等々、まだまだ改善すべき余地が沢山残されていますが、それらが少しでも改善出来る日を楽しみに、これからも355保存会を進化させていく所存でございます。ご意見を残して頂き、どうもありがとうございました。

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