Skip to content

Ferrari F355 SKF純正ベルトテンショナーベアリングの実情について

Pocket

先週、オルタネータープーリー(補機ベルトテンショナープーリー)のインナーレースベアリングの凝着により、クルマが一時不動の状態となりました。

実際に、壊れた部品を分解して、インナーレースがプーリーの軸に凝着している事が確認出来たため、はっきりと故障原因を突き止める事が出来ました。

この手のイレギュラーなトラブルですと、テンショナープーリー、ベアリング、ベアリング軸、ブラケット等のテンショナーの主要部品は、一式交換になる事が大半だと思われるため、明確なトラブルの原因が突き止められていないように思われます。

一方で、355や360等のタイミングベルトが20000キロで切れる事をよく耳にしますが、実際何が原因でタイミングベルト交換が必要になるのか?この瞬間は明確では有りませんが、今回のトラブルで少し原因が観えてきました。

それは、今回のトラブルと同じ原因であるベルトテンショナーのベアリング脱落により起きると考えられます。

それではなぜ、ベルトテンショナーのベアリング脱落が起きるのか?

それは、純正ベアリングのグリス充填量が、クルマに対して明らかに少ない事が原因ではないかと我々は考えています。

一般的なクルマでは、トラブルが起きにくいベアリングなのでしょうが、355で使用する場合、SKF製の純正ベアリングは、工場出荷状態の新品状態だと、2〜3万キロ程度しかもたない作りになっていると考えています。

最大エンジン回転数が8500rpm、低中速域は、細いトルクが故に、高回転で回して乗る頻度が多いクルマであるため、ベアリング自体は常に高回転で回されます。

さらに、ラジエーター、エンジンオイルタンク、エキマニ、マフラー、ミッションなど、高温の熱源となるパーツ全てがリヤのエンジンルーム内に搭載されているミドシップカーなので、熱量が他のクルマとは、比べ物になりません。

従って、一般的なクルマで使う共用パーツがそのまま使われていると考えられ、さらされる環境が全く異なるので、ベアリング自体の寿命が極端に短くなり、2〜3万キロ程度でトラブルが出ると考えています。

ベアリング内部に充填されるグリスは、高回転且つ高温域で回されると、グリス自体の粘性が低下して、遠心力により、外側に張り付くようになります。

熱により粘性が低くなると、メタルシールの継ぎ目からグリスが滲み出るようになり、プーリー周辺にグリスが付着するようになります。

それにより、内部に充填されていたグリスが、伸びる走行距離と共に少なくなり、最終的にベアリング内部のグリスが極端に減り、アウター及びインナーレースと玉の摺動音を伴うようになります。

トラブルを経験された方は、馴染みのある音かも知れません。

この音が出始めると、ボールベアリングとアウター及びインナーレースが激しく摺動する事により、信じられない程の摩擦熱が伴うようになり、あっという間に粉砕します。

ベアリングのガイドが折損、ベアリングの玉が脱落、アウターレースが脱落、最後にインナーレースが高温にさらされて、ベアリング軸に凝着すると考えられます。

今回は、補機ベルトテンショナープーリーのベアリングで起きたトラブルですが、同じSKF製のベアリング、同じテンショナープーリーであり、且つ、No氏が持参してきた1万キロ相当のタイミングベルトテンショナープーリーには、グリスが付着している状態でした。

ベアリングに対策弾を仕込まない限り、テンショナーのトラブルは、ずっと続くだろう事が、今回のトラブルにより、理解する事か出来ました。

それじゃあ、どうやったらトラブルに歯止めが付けられるのか?

それは… 新品の純正部品を疑い、対策弾を仕込む事から始まって行きます。

油膜切れのベアリングの音
グリス充填時のベアリングの音
ティキソグリスの充填

大林 寿行 View All

自動車部品メーカー2社を経て、現在、国内自動車メーカーのエンジニアに従事。主にクルマのエンジン耐久信頼性実験とその研究に携わる。研究においては、エンジン内部の要素研究に着手。自動車技術会、SAEへ研究論文を発表し、「ピストンピン打音発生時の潤滑挙動可視化」や「ディーゼル用スチールピストンの摩擦力と特性とスラップ振動の関係」などがある。また、「内燃機関のピストン構造」で特許を出願。しかし、順風満帆ではなく、うつ病を患うことになり、これからの仕事の仕方について真剣に向き合う。エンジニアからジャーナリストへの転身を見据え、「ジャーナリストへの道」のFacebook page、ブログを立ち上げ、執筆に向けて記事を更新中。成長社会から成熟社会的へ変わる中、社会的な悩みにフォーカスし、読書や実体験を通じて問題解決に至るテーマとコンテンツ、自ら仕事を開拓出来るような道筋を配信。心と身体の健全化を図り、誰もが本当の自分と幸せを手に入れられる時代のきっかけづくりを目指す。

One thought on “Ferrari F355 SKF純正ベルトテンショナーベアリングの実情について Leave a comment

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。