フェラーリ355F1ベルリネッタ【マニュアルコンバージョンのメリット】

〓マニュアルコンバージョン自体は、ほぼ完成。
355F1フィオラノハンドリングパッケージを引き上げてから半月が経過致しましたが、マニュアルコンバージョンに対しての作業は、8割ほど完成しました。
残りは、クラッチシリンダーを新たに新設する必要があったので、ブレーキラインを追加する事と、エンジン始動時のF1マチックコンピュータからのエラー信号等のキャンセルです。
〓マニュアル化する以外のメリット。
ここまで作業を進めて行くことで、355F1にマニュアルコンバージョンするメリットが新たに見えてきました。
まず、1つ目がATE製からBOSCH製のABSに換装が出来る点です。多くのマニュアルのF355は、PAまたはPRがほとんどで、XRのマニュアルは、絶対的な個体数が少なくなっています。
PA、PRは、ATE製のABSを使っており、後期モデルの355F1等で使われているBOSCH製のABSよりも古い方式のシステムが使われており、アキュームレータータイプの物になっています。
また、XRのマニュアル車でもATE製が使われている車が有り、末期のごく少数の車のみがBOSCH製ABSが使われています。
それは、直接のメールで、F355 フィオラノハンドリングパッケージの最終仕様のマニュアル車のオーナー様より貴重な情報を頂き、最終の最終仕様は、マニュアルでBOSCH製のABSが付いているとの情報を頂きました。
ただし、フィオラノハンドリングパッケージは、ABSを含めた仕様変更内容とはなっていないため、このクルマと同時期に作られた通常モデルもBOSCH製ABSに変わっていると思われます。
これは、BOSCH製のABSが入っている360の立ち上げに伴い、製品の統一化により、量産効果を狙ったことが大きな理由だと考えられます。
さらにのウィークポイントでもあるオルタネータープーリ。以前、当ブログでもベアリングの焼付きについてご紹介を致しましたが、このタイミングで金属製から360や430と同じ仕様の樹脂プーリーに変わっています。
〓もう一つ重要なコストメリット。
最終の最終仕様のXRのF355は、マニュアル車でも唯一のBOSCH製ABSを搭載する訳ですが、極めて台数が少なく、今となっては値段も3000万円級の価格となっており、手が出しにくいクルマになっています
しかし、355F1ですと、台数もマニュアル車よりも多いですし、通常のF355よりもクルマ自体の程度が良い個体が多かったりしますし、オプションのスポーツシートなどの豪華粗装備が付いていたり、値段もマニュアル車よりも安く手に入ります。
従って、メリットとしては、ごく少数のXRの最終の最終F355と同じBOSCH製ABS が手に入りる事で、ブレーキシステムが強化され、PAやPRよりも高年式且つ比較的程度の良い車両が選べて、半値以下で最終の最終仕様のXRのF355が手に入ってしまう事です。
単にF1マチックの2ペダルからマニュアルに載せ替える、単なるコンバートのイメージが先行してしまいますが、実は、355F1をマニュアル化することによって、最新且つ最良の355が安価に手に入ってしまいます。
現在、最終の最終仕様XRのF355の市場価値が3000万円、355F1が1200〜1300万円となっています。
マニュアルコンバージョンの部品代と工賃を考えると、圧倒的に355F1をマニュアルコンバージョンして乗る事のコストメリットも大きい事が理解出来ると思います。
パーツ自体も全て純正品を使ってマニュアルコンバージョンが出来るので、355F1をベースにマニュアル化したいとお考えの方は、今すぐに作業をお受けすることは出来ませんが、レストア車両が完成次第、受け付けて行きたいと考えております。

大林 寿行 View All
H社及びM社ドイツエンジン部品メーカー2社を経て、国内自動車メーカーの実験エンジニアに従事。主にクルマのエンジン耐久信頼性実験とその研究に携わる。研究においては、H研究所出向中、エンジン内部の要素研究に着手。自動車技術会、SAEへ研究論文を発表し、「ピストンピン打音発生時の潤滑挙動可視化」やM社時代大学の研究室との共同研究「ディーゼル用スチールピストンの摩擦力と特性とスラップ振動の関係」などがある。また、「内燃機関のピストン構造」で特許を出願。しかし、順風満帆な日々は続かず、うつ病を患うことになり、これからの仕事の仕方について真剣に向き合う。情報発信を駆使して、エンジニアからジャーナリストへの転身を見据え、「エンスージアストへの道」ブログを立ち上げ、クルマ系記事を執筆。今年からは、クルマ系動画クリエイターとして独立を果たし、新車及びカー用品のレビューを本格的に実施。ブログ記事執筆によって、動画の新車レビューでお届け出来なかった内容を執筆し、クルマのエッセンスをより詳しく発信。また、カー用品では、デシダルルームミラーを始めとした、主に新車購入時に注目される用品を中心に、海外メーカーからタイアップの話を頂きつつ更新中。クルマを通じて、誰もが楽しいカーライフが得られるきっかけづくりを目指します。