こんにちは。元エンジン要素研究員上がりの自称モータージャーナリストの大林寿行です。
現在まで駐車監視向けのドラレコとして最もおすすめして来た製品がVANTRUEの2023年モデルの4カメラドラレコ「N5」が「N5S」となって2025年7月にニューモデルが登場しました。
日本メーカーでは実現しえないハイエンドモデルですので、興味を持たれている方も多いと思います。
そこでこの記事では、主に新しくなった機能、リヤカメラの解像度アップと、前後インナーカメラのイメージの変更について、実機レビューして行きたいと思います。
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「N5S」のスペックと特徴
「N5S」のスペックはこちらの表の通りです。
| N5S |
|---|
| 25.07発売 |
| フロント：2688×1944/30fps フロントインナー：1920×1080/30fps リアインナー：1920×1080/30fps リア：2560×1440/30fps |
| LED信号対応 |
| レンズ視野角 対角165°/160°/158°/160° |
| 音声コマンド機能搭載 |
| リアカメラケーブル6m |
| microSD付属なし/最大1TB |
| GPSはマウント内蔵 |
| 駐車監視モード |
| 衝撃検知/検知後起動収録 動体検知/検知前10秒検知後30秒収録 タイムラプス/電圧カットオフ式 |
先代の「N5」 との違いは、後方撮影用のリアカメラの録画解像度がフルハイビジョンから2.5Kにアップしている点ですが、イメージセンサーについても以下のような変更があったようです。
- フロント：IMX675→IMX675
- リア：IMX672→IMX675
- フロントインナー：GC2093→IMX672
- リアインナー：GC2093→IMX672
IMX672は、200万画素のSONY STARVIS 2センサーで、IMX675は、500万画素のSONY STARVIS ２対応センサーとなりました。また、GC2093は中国のGalaxycore Microelectronicsの200万画素センサーとなりました。
ハードウェアの変更により、おそらくインナーカメラはよりダイナミックレンジと暗視性能が向上し、リアカメラはダイナミックレンジと夜間の明るさを若干犠牲にしてナンバー認識精度を向上させたものと推察されます。
また、「N5S」ではLTE通信をサポートするようになっていますが、技適認証の絡みで日本では導入されておりません。
セット内容とデザイン
今回はVANTRUEさんからご提供頂いたサンプルにて実機テストを行いました。セット内容は以下の通りです。
・フロント筐体（2カメラ）
・リアカメラ筐体（2カメラ）
・GPSマウント
・リアカメラケーブル（6m）
・Type Cシガー電源ケーブル
・PC通信用Type Cケーブル
・取扱説明書
・ドラレコステッカー×２
・両面テープ
・取付部材
フロントカメラ筐体
フロントカメラ筐体のデザインは、先代の「N5」と同様の大振りな円筒タイプ。
液晶はドラレコとしてはイレギュラーな長方形の3.19インチ。上側面にはリアカメラ端子またはPC用のデータ転送端子が装備されています。
筐体の下側面には４つの物理ボタンがあります。
左側面にはイベント録画/電源ボタンとmicroSDカードスロット。
付属のマウントにはGPSアンテナが内蔵されています。
前作のN5に対して、両面テープが付くマウントベースの表面積が広げられており、夏場の筐体の脱落が改善されています。
リアカメラ筐体
リアカメラ筐体には前後にカメラが装備されていますが、赤外線LEDが搭載されている方が車内側です。
リアカメラケーブル
リアカメラケーブルは6mと短めですので、ミニバンなどでは配線の取り回しがタイトになります。
ミニバン用にはこちらの9mロングケーブルがOPで用意されています。
電源ケーブル
電源ケーブルはType Cシガープラグタイプとなります。
駐車監視の運用には別途専用の常時電源ケーブルが必要です。
また、駐車監視のカットオフ設定は、駐車監視ケーブルの電圧値の設定(普通車の場合、12.0Vまたは11.6V)で行います。
インターフェイスについて
電源ONから録画開始までの起動時間は20秒程度と、ドライブレコーダーとしてはやや遅めです。
メニューツリーは従来のVANTRUEドラレコと同系統ですので、使い勝手は悪くありません。
ただし、本機はWiFi対応機種ですので、操作系はWiFiアプリを使った方が良いと思います。
WiFiアプリについて
WiFiアプリについてはこちらからダウンロードが可能です。
ＷiFiメニューでは本体のメニュー項目が全て網羅されており、使い勝手は非常に良いと感じました。
また、スマホのみならず、Android搭載の縦画面にも切り替え設定が出来るATOTO A5L等のディスプレイオーディオでも使用する事が可能です。
5.8GHz帯での接続を行いましたが、WiFiアプリでの動画のストリーミング再生は、カクツキなどは見られず、ストレスなく視聴する事が出来ました。
スマホへの動画のダウンロードも、他社製品と比べると速い方でした。（2.5K/28fps/5分の動画で2分くらい）
ダウンロード動画にはこのように地図にGPS情報が反映されます。
車内への取付けについて
今回はGK型フィットに「N5S」の取り付けを行いました。
このタイプはインナーカメラのレンズがディスプレイ横に付いていますので、ミラー裏には隠せません。
前後インナーカメラ付きで、左右側方の状況を対称に収録する場合には、出来るだけカメラはセンターに設置する必要があります。
ドライブレコーダーとしての画質について
画質については、以下のポイントで確認しました。
・逆光補正能力
・ナンバー認識精度
・夜間の明るさ
録画視野角について
「N5S」の前後収録動画の視野角は、ミラー型ドライブレコーダーのMAXWIN MDR-G1011と比較しました。
【フロント 165度】
MDR-G1011の視野角は不明ですが、N5Sの方が狭角でした。
【リヤ 160度】
MDR-G1011の視野角は不明ですが、N5Sと同等の視野角でした。
【フロントインナー 160度】
前作の「N5」も同様ですが、フロント左右側方ガラス越しの状況は、カメラのレイアウト及び視野角によって、全面を映す事が出来ず一部切れてしまいます。
【リヤインナー 158度】
リヤ左右側方のガラス越しの状況全面及び前方はしっかりと収録出来ていました。
逆光補正能力について
スーパーの駐車場の光が差す出入口の状況で白飛びするかどうか確認をしました。
【フロント】
【リヤ】
【フロントインナー】
フロント・リヤ・フロントインナーは白飛びしており、出入口の状況を収録する事は出来難くなっていました。
【リヤインナー】
リヤインナーは、比較的白飛びが抑えられている印象でした。
ナンバー読み取り精度について
「N5S」はフロント2.7K、リヤも2.5K解像度となっており、ナンバー認識が可能です。
【フロント】
【リヤ】
しかし、夜間のヘッドライトが照らされた状況下では、一部白飛びしており、ナンバーの読み取り難くさがありました。
【フロントインナー】
また、リヤは対向車のヘッドライトの光加減によって、暗い状況下では、ナンバーが見え難い場面も見受けられました。
【リヤインナー】
夜間の明るさについて
市街地での明るさは、ドライブレコーダーとしては、ほぼ最上位のクラスとなっています。
【フロント】
【リヤ】
【フロントインナー】
【リヤインナー】
一方、農道などの真っ暗闇な場所では、ほぼ黒潰れしている状況で、ヘッドライトを焚いているフロント以外は、周りの状況は分かりませんでした。
【フロント】
【リヤ】
【フロントインナー】
【リヤインナー】
フレームレートとLED信号の映り方について
前後カメラの収録動画は、「N5S」のフレームレートは30fpsとなっており、LED信号が高速点滅して映ります。
駐車監視時設定と映像について
駐車監視モードは、タイムラプス録画の5fpsで運用しました。
また、低照度暗視機能はONに設定しました。これにより通常よりも30%明るくなるようです。
昼間の駐車監視(タイムラプス)中の収録動画は、日差しによっては白飛びが見られました。
【フロント】
【リヤ】
【フロントインナー】
特にリヤインナーでは、右側方の日差しが強い時に白飛びしてしまい、状況の認識が出来難い場合がありました。
【リヤインナー】
また、夜間の駐車監視(タイムラプス)中の収録動画は、フロントインナーカメラの赤外線LEDの反射により、リヤインナーカメラの映像が見え難い状況が見受けられました。
【フロント】
【リヤ】
【フロントインナー】
リヤインナーカメラによる左右側方のガラス越しの見え方は、赤外線LEDの反射により、映像にノイズが乗っており、フロントインナーカメラよりも見え難い状況が見受けられました。
【リヤインナー】
地デジへのノイズの影響について
今回、MAXWINの地デジチューナー FT44Hを使用して確認しました。
また、地上波の受信を妨げる事なく、番組の視聴も可能でした。電波干渉により、フルセグで映っていたのが、ワンゼクのみでしか映らなくなる例がありますが、アフターメーカーのデジタルミラー及びドライブレコーダーは、全ての車種に対応している訳ではないので、電波干渉の有無は参考程度とお考え下さい。
「N5S」の総評
最後に「N5S」の総評です。
N5Sに進化した事で、SONY STARVIS 2 IMX675 500万画素センサーが搭載されてリヤカメラが2.5K解像度となり、トータルでより高解像度なドラレコとなり、ナンバー認識精度が向上しています。
また、色彩が鮮やかで高精細な映像が、VANTRUEらしいドラレコとなっており、改めて高画質な映像に好印象を受けました。
しかし、前後インナーカメラにSONY STAVIS 2 IMX672 200万画素センサーが搭載されましたが、前方インナーカメラの視野角が足りず、左右側方ガラスの全面が入り切らず、死界が生じてしまっています。
また、昼間の日差しにより白飛びが見受けられたり、夜間は、赤外線LEDカメラとなっていますが、照明が少ない場所では、映像の黒潰れが見受けられます。
そもそもインナーカメラには、HDR WDRが搭載されていないと考えられますが、インナーカメラのダイナミックレンジと暗視性能がもう少し改善出来たら、駐車監視特化型の4カメラドラレコとしての機能が遺憾無く発揮出来るドラレコになると思いました。
いずれにしても、画質面では今のところ他社の追随を許していませんし、駐車監視を意識している方にとって、最強4カメラドラレコである事は間違いありません。
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